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平成29年・22週~腸管出血性大腸菌感染症~

今週の注目疾患   平成29年・22週(5月29日~6月4日)

~腸管出血性大腸菌感染症~
 腸管出血性大腸菌感染症は通常夏季に発生のピークを持つが、ここ数年は第 20 週前後から発生が増加する傾向にある。2017 年は第 22 週までに 18 例の報告があり、直近 4 週はいずれ の週で 2 例以上の報告を認める。腸管出血性大腸菌感染症は、無症状の場合もあれば、溶血性尿 毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)を続発して致命的となるなど様々な病態をとりうるが、典型例では 3~5 日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に血便がでる。また 37~38℃台の熱や嘔吐を伴うこともある。HUS、または脳症などの重症な合併症が続くことがあり、HUS を発症した患者の致命率は 1~5%とされている。原因となる腸管出血性大腸菌に汚染された食品の喫食や、感染者の糞便汚染物との接触による糞口感染によって感染し、家族内感染や二次感染が多いことも特徴である。また汚染された食品が広域的に流通するこ とにより、一見散発的に見えるアウトブレイクが発生しうることにも注意しなければならない。 2013 年以降、2017 年第 22 週までに合計 648 例が県内医療機関から報告され、型別された血 清型の内訳の上位 3 血清型は、O157 が 430 例( 66%)と最も多く、次いで O26 が 71 例( 11%)、 O145 が 53 例(8%)となっている(表)。例年 O157 株が最も多く分離されるが、2017 年はこれ まで O26 株による報告が 18 例中 7 例と最も多い。ベロ毒素(Vero Toxin, VT)型別では VT1 単 独産生によるものが 161 例(25%)、VT2 単独産生が 188 例(29%)、VT1VT2 産生が 262 例 (40%)、他は VT 型不明等となっている。前述のとおり腸管出血性大腸菌感染症の届出は患者 (有症者)だけでなく、無症状病原体保有者(保菌者)も含まれるが、VT1 単独産生によるもの では患者(有症者)の割合は 45%、VT2 単独産生では 69%、VT1VT2 産生株では 80%が患者(有 症者)として報告されている。VT2 は VT1 より病原性が高いことが知られており、患者の重症化 リスクといったことに注意しなければならないが、VT1 単独産生株においても、無症状や軽症と いったことを背景に症例が探知されずに二次感染が発生し、施設内や集団内で感染が拡大してしまうといったリスクがある。腸管出血性大腸菌感染症の予防には、平時から手洗いの励行といった感染予防策の徹底、子供や高齢者の健康状態に注意を払うこと、また食中毒予防のため肉類は 十分に加熱し摂取することや調理時の交差汚染に注意することが大切である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年6月7日更新)
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