2007年10月20日

今週の注目疾患   2020年 27週(2020/6/29~2020/7/5)
【今週の注目疾患】

【レジオネラ症】
 2020年第27週に県内医療機関から3例のレジオネラ症の届出があり、2020年の累計は39例となった。
レジオネラ症は一年を通して発生を認めるが、傾向として夏~秋により多く、県内でも過去に当該季節に届出が多くなることが認められた。

 39例の届出の内訳は、肺炎型37例、ポンティアック熱型2例である。
性別は男性30例、女性9例と男性が多く、年齢は男性の年齢中央値76.5歳(範囲:49~96歳)、女性の年齢中央値84歳(範囲:66~95歳)である。
レジオネラ症は、土壌や水などの自然環境中に存在するレジオネラ属菌によって引き起こされる。
エアロゾルを発生しうる人工環境(噴水・冷却塔・ジャグジー・加湿器等)や循環水を利用した入浴設備等で、衛生的な維持管理が不十分な場合、レジオネラ属菌が増殖し感染源となることがある。
レジオネラ症は劇症型のレジオネラ肺炎と一過性のポンティアック熱の2つの病型に分類される。
レジオネラ肺炎の潜伏期間は通常2~10日(16日間の症例報告もある)、中枢神経症状や下痢などを認めることもあり、有効な抗菌薬による治療がなされないと特に致命的になる(免疫抑制下では40~80%が死亡)。
一方ポンティアック熱は潜伏期間が数時間から48時間程度であり、インフルエンザ様症状が2~5日続くが、一過性で治癒する。
患者からの菌分離は、尿中抗原による診断が難しいレジオネラ属菌による症例の確認や、曝露源と推察される環境から分離された菌と合わせて遺伝子型別を行なうことによって、感染源の特定といった公衆衛生対にも有用となる。
原因となるレジオネラ属菌は通常ヒトからヒトに直接感染することはないが、患者周囲に同じ感染源に曝露した者がいる可能性があり、注意が必要である。
前述の人工環境や入浴施設の利用による感染が疑われる場合には、環境検査やその曝露源周囲にポンティアック熱を含むレジオネラ症の症状を呈したものがいないか確認し、エアロゾルを発生しうる人工環境や入浴施設については、平時からの適切な維持管理がレジオネラ症予防に重要である。
引用・参考
WHO Legionellosis:>>詳細はこちら
国立感染症研究所レジオネラ症とは:
>>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年7月8日更新)