2018年10月12日

今週の注目疾患   平成30年・40週(2018/10/1~2018/10/7)

【麻しん】
2018 年第 40 週に松戸保健所管内の県内医療機関から 2 例の麻しんの届出があった。
当該2 例は、第 39 週に届出のあった先行事例(初発事例)の医療機関外来受診時期に当該医療機関への滞在が確認されている。
なお、初発事例については海外での感染と推察される。
麻しんは空気感染、飛沫感染、接触感染と様々な経路により伝播し、また感染力が非常に強い。
特異的な治療法もなく、今なお先進国であっても 1,000 人に1人の割合で死亡する可能性がある。
日本は 2015 年 3 月に麻しん排除の認定を受けたが、その後も海外へ(から)の渡航者の麻しんや、それを発端とする国内での感染伝播による事例が認められている。
麻しんの予防には 2 回の麻しん含有ワクチンの接種が最も効果的であり、引き続き定期接種の啓発を続け接種率の向上を図っていくことが重要である。
千葉県健康福祉部疾病対策課 麻しん(はしか)の発生について(平成 30 年 10 月 9 日)
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【レジオネラ症】
2018 年第 40 週に県内医療機関から 8 例のレジオネラ症の届出があり、2018 年の累計は68 例となった。2006 年以降の過去同時期と比較すると、2018 年は多くの届出を認めている。

2018 年に届け出られた 68 例について、性別は男性 57 例、女性 11 例と男性が圧倒的に多く、年齢は男性の年齢中央値 67 歳(範囲:31~92 歳)、女性の年齢中央値 78 歳(範囲:64~95 歳)である。特に、男性の 50 代~70 代の届出が多くなっている。

レジオネラ症は、土壌や水などの自然環境中に存在するレジオネラ属菌によって引き起こされる。
エアロゾルを発生しうる人工環境(噴水・冷却塔・ジャグジー・加湿器等)や循環水を利用した入浴設備等で、衛生的な維持管理がなされていない場合、レジオネラ属菌が増殖し感染源となることがある。
レジオネラ症は劇症型のレジオネラ肺炎と一過性のポンティアック熱の2つの病型に分類される。
レジオネラ肺炎の潜伏期間は通常2-10日(16日間の症例報告もある)、中枢神経症状や下痢などを認めることもあり、有効な抗菌薬による治療がなされないと特に致命的になる(免疫抑制下では40~80%が死亡)。
一方ポンティアック熱は潜伏期間が数時間から48時間程度であり、インフルエンザ様症状が2~5日続くが、一過性で治癒する。
原因となるレジオネラ属菌は通常ヒトからヒトに直接感染することはないが、患者周囲に同じ感染源に曝露した者がいる可能性があり、注意が必要である。
エアロゾルを発生しうる人工環境や入浴施設については、平時からの適切な維持管理がレジオネラ症予防に重要である。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年10月11日更新)